TAROT DE MARSEILLE
FRANCOIS CHOSSON 1736
(フランソワ・ショッソン版タロット)




 好評を得たピエール・マドニエ版から一年、「古典タロット連続復刻プロジェクト」第二弾が無事発売の運びとなった。今回は現存最古の「マルセイユ製」タロット、フランソワ・ショッソン版である。

 タロットカードの2大スタンダードといえば「ウェイト版(ライダー版)」と「マルセイユ版」。このことに異議を唱える向きは殆どあるまい。前者が後者を基に生まれ、その後世界的に大きなシェアを獲得したことなどを考えると、二者はちょうどコンピュータの世界でいうWindowsとMacのような関係といえようか。

 これらタロットファンにはお馴染みの二規格だが、デザイン以外に意外と認識されていない大きな違いが一つある。その名称の性質である。前者の名は製作者・出版社にちなんだストレートなもので、すなわち固有名詞。この名を聞いて浮かぶイメージは全世界共通でパメラ・コールマン=スミスの描いたあの一連の作品であろう。

 一方、後者はさにあらず。そもそも特定のデッキを指したものではなく、ある伝統的なスタイルを保った諸デッキの国籍・時代を問わぬ「総称」だからである。  フランス国内でタロットが時と共に見る見る廃れて行く中、19世紀末にもその命脈を保っていたのがマルセイユのニコラ・コンヴェル版であった。それを当時のオカルト界の大立者・パピュスが「マルセイユのタロット」として自著で称揚して以来、タロット界においてマルセイユの名は一つのブランドとなった。その流れが後の「グリモー版」("ANCIEN TAROT DE MARSEILLE")の登場で決定的なものとなる。かつて発泡性ワイン全般が「シャンパーニュ」と呼ばれた如く、同種のデッキはすべて「マルセイユ版」となったのだ。

 さて、文字通りにマルセイユの地で造られた純粋な「マルセイユ産のタロット」としては確認される中で最も古く、上記コンヴェル版のモデルとも目されるタロット史上重要な存在が、今回復刻されたフランソワ・ショッソン版である。
 ショッソン版は謎多きデッキであり、しばらく前までは製作地がマルセイユであることさえよく知られていなかった。製作時期についても未だに議論の的となっている(コインの2札に記された年号に欠損があるためだが、ショッソンに関する公的記録を一つの根拠として今回の復刻版では1736年としてある)。
 その特筆すべき点として、1760年作のコンヴェル版では失われた伝統的意匠がショッソン版ではまだ保たれていることが挙げられる。例えば「皇帝」の頭頂部の十字、「吊るし人」のコッドピース、「太陽」の顔に使われた緑色などである。是非、ピエール・マドニエ版やコンヴェル版とじっくり見比べて頂きたい。二者間の半世紀という時をつなぐ存在としてショッソン版を置くことで、マルセイユ版のデザインが時空を渡って少しずつ変容してゆく様を直に感じ取れる。これぞマルセイユ版研究の醍醐味と言ってよい。
(ちなみに、ショッソン版の「吊るし人」上部にはこのデッキがコンヴェル版のモデルだったと推測できる有力な証拠が2つ隠されている。楽しみに探して頂きたい。)

 スイス・ブルーメンシュタイン博物館所蔵のオリジナルをもとに、寸法・厚み・色調など可能な限り忠実に再現。豪華ケースや包装紙も合わせて、第一弾に劣らぬ出来栄えと言えばその質の高さはお分かり頂けよう。限定3000部・シリアルナンバー入り。

 (78枚、63×120mm)




\6,800(税別)
シリアルナンバー付き(限定3000部生産品)


 
製作者サイト(英語)


文責:夢然堂