TAROT FRANCOIS HERI 1718
 (フランソワ・エリ版タロット)

TAROT CRAUDE BURDEL 1751
 (クロード・ビュルデル版タロット)


  


 イヴ・レノー&ウィルフリード・ウドゥアン両名による古典タロット連続復刻プロジェクト、前回の第二弾フランソワ・ショッソン版から二年強の時間を置いてこの度めでたく第三弾&第四弾の同時リリースとなった。共にスイス生まれの名作である。

 まずは1718年ゾーロトゥルン製のフランソワ・エリ版。現存するスイス製タロットとしては最古とされるものである。ピエール・マドニエ版から9年ほど後に製作され、分類上同じ「タイプ II 」に属するデッキだが、マドニエ版には見られない興味深い特徴をいくつか持っている。分けても違いの顕著な「世界」の牛のポーズや「杯のエース」の細部は、のちのショッソン版やコンヴェル版などの重要デッキが直接にはマドニエ系でなくこのエリ版と同じ流れを汲んだものであることを示す重要な証拠 ともなっている。さらに、他のマルセイユ系諸デッキがいわば少し小さめの額縁に押込められているかのような印象を与えるのに対し、エリ版では枠内上部や左右の空間に余裕がある。例えば「愚者」の帽子や「手品師」の机上のバッグなども途中で見切れることなく全体が描かれており、こうしたトリ ミングの少なさからエリ版こそマルセイユ版デザインの大元により近い、という可能性も指摘されている。
 さて、これまで唯一の現存例とされ今回の復刻のベースともなったチューリヒのスイス国立博物館所蔵品だが、残念なことに二枚の札の欠損がある。それがこの度、イヴ・レノーの調査によって新たに発見された別の現存品(こちらも完品ではない)によって補完され、晴れて全78枚のカードが揃った形での発売となった。かくもタロット史上貴重なデッキを蘇らせた今回の復刻はまさに偉業と言えよう。これまで一般の目に触れる機会がほぼ無かった品であるだけに、有難さも一入である。

 続いては、1751年フリブール製のクロード・ビュルデル版。仏リヨン(マルセイユ版発祥地の有力候補)近郊に生まれ同地で修業を開始したクロード・ビュルデルは、のちにスイスに移りフリブールの地に落着いて孫の代まで続くカード工房を築いた人物である。そんな彼のデッキだが、デザインがピエール・マドニエの息子ジャン=バティストによるもの(1739年作)とほぼ同じであることが非常に興味深い。「太陽」が有髪で二人の童子が踊 るような姿であることや「杯のエース」にフェニックスらしき鳥の姿が描かれていることなどが特に目立つが、その他にも注目すべき細部が数多く存在する。加えて、これには先ほど触れた杯のエースも含まれるが、非常にデコラティブな数札のデザイ ンも特筆に値しよう。このビュルデル版では美麗な色遣いも相俟って見る者を魅了する。
 今回の製品は仏マルセイユのヨーロッパ・地中海文明博物館所蔵品をオリジナルとしたもので、これもまた本格的な復刻は今製品が初である(このデッ キをベースとしたデッキはロ・スカラベオ社からも出ているが、大きく改変されている)。

 前二作同様、どちらも限定3000部でシリアルナンバー入り。ビュルデル版の方は当時の製品包装紙も再現している。志ある愛好家の方々には是非とも両デッキをコレクションに加え、魅惑的なマルセイユ版の森のさらに奥深くへと分け入って頂きたい。

 (共に78枚、エリ版69x125mm/ビュルデル版63x117mm)



フランソワ・エリ版タロット
\6,800(税別)
シリアルナンバー付き
(限定3000部生産品)



クロード・ビュルデル版タロット
\6,800(税別)
シリアルナンバー付き
(限定3000部生産品)


 




製作者サイト(英語)


文責:夢然堂